マゾヒズム

マゾヒズム
【マゾヒズム(まぞひずむ、英:Masochism、独:Masochismus)】とは、肉体的精神的苦痛を与えられたり、羞恥心や屈辱感を誘導されることによって性的快感を味わったり、そのような状況に自分が立たされることを想像することで性的興奮を得る性的嗜好の一つである。「被虐性欲」とも言う。
極端な場合や世界保健機関のICDにおいては、精神疾患とも見なされ、この場合は「性的倒錯(パラフィリア)」となる。しかしながら近年デンマークにおいてはマゾヒストの人権に配慮してマゾヒズムは精神疾患とはみなされなくなった。
なお、マゾヒズムという発音・表記はドイツ語と英語の混淆したものと推測される。発音は、英語ではマソキズム、ドイツ語ではマゾヒスムスに近い。
「毛皮を着たヴィーナス(Venus im Pelz)」など自伝的な作品で、身体的精神的苦痛を性的快楽と捉える嗜好を表現したオーストリアの作家「ザッヘル=マゾッホ」の名前に由来してこう呼ばれる。
マゾヒズムの概念を提唱したのは「クラフト=エビング」である。性的な倒錯として定義されたが、後に、被虐的な傾向一般を「マゾヒズム(Masochism)」と言うようになり、性的嗜好のマゾヒズムは「性的マゾヒズム(Sexual Masochism)」とも言い分けて区別することがある。
マゾヒズムの嗜好を持つ人を「マゾヒスト」と呼ぶ。俗語で「マゾ」と呼ぶが、単に「マゾ」と略すと、マゾヒストとマゾヒズムの両方の意味がある。
「被虐性淫乱症」とも呼ぶが、これは変態性欲の通俗概念などと同様、多分に差別的な呼称である。
ひとりの人間がサディズムとマゾヒズムを合わせ持っている場合は「サドマゾヒスト(略称:サドマゾ)」と言われる。